条約の外側で:保護のない国に暮らす難民の現実 

Published
2025年05月05日

1951年の難民条約および1967年の議定書は、誰が難民と認定され、どのような保護を受ける権利があるかを定めています。現在、149か国がいずれかの条約に加盟していますが、タイ、ミャンマー、レバノンなど、署名していない国も少なくありません。こうした国々では、難民に対する法的な保護の枠組みが存在せず、多くの人々が法的な宙吊り状態に置かれています。 

たとえばタイでは、ミャンマーから逃れてきた多くの難民が無登録の移民として扱われています。法的な地位がないためにキャンプ内にとどまらざるを得ず、就労も許可されず、逮捕や強制送還のリスクに常にさらされています。レバノンでも、シリア難民は基本的なサービスや雇用、居住資格へのアクセスが極めて限られており、難民条約が保障する保護を受けることができません。 

こうした状況の中で、難民は拘束、搾取、送還といった危険と常に隣り合わせにあり、医療・教育・就労などの基本的権利へのアクセスも制限されています。また、社会からの差別も根強く、地域社会への統合は非常に困難です。正式な保護制度が存在しない中、多くの難民にとって、法的に安全を求める手段はほとんど残されていません。 

それでも、例外的に一定の保護は存在します。「生命の危険がある国への強制送還は許されない」とするノン・ルフールマン原則は、条約に署名していない国でも適用されるとされています。この原則は難民条約に由来するものですが、現在では国際慣習法とされ、すべての国に拘束力があると考えられています。ただし、その実施はしばしば政治的な情勢や世論に左右され、難民の安全が確実に守られるとは限りません。 

Refugee Empowerment International(REI)は、法的保護の及ばない地域においても、難民の暮らしと未来を支える支援を行っています。タイ・ミャンマー国境地域では、難民自身が主導する薬物乱用防止や母子保健の啓発プロジェクトに資金を提供しています。レバノンでは、シリア難民の子どもたちに教育の機会を提供するプログラムを支援し、安全な学びの場と地域の発展を後押ししています。 

難民は「どこにいるか」によって、忘れ去られてはなりません。戦争や迫害によって故郷を追われたすべての人々に、安全と尊厳、そして新たなスタートの機会が保障されるべきです。 

REIでは、通常、「難民」を「避難民」と呼んでいますが、この記事は難民条約に関する記事であるため、混乱を避けるために「難民」を一貫して使用しています