ベビーキット供給および母子衛生、ミャンマーカレン州

Published
2020年08月27日

プロジェクト内容

このプロジェクトは、イートゥター国内避難民キャンプおよびミャンマーカレン州の5つの村の新生児の母親へベビーキットを支給する内容です。ベビーキットには、洗濯用洗剤、石鹸、赤ちゃんのおくるみ布、爪切り、そして現地の女性たちに必ずしも行き渡っていない、出産後の母子の衛生管理にとって重要な情報を掲載した小冊子が含まれますこの衛生管理情報の普及活動は、ベビーキット支給を行うヘルスワーカーが母親達と直接対面できることで、多くの現地の文盲の女性達にも衛生管理教育について説明できる機会であり、妊産婦および新生児死亡率の改善につながるきわめて重要な活動です。

ベビーキットに含まれる石鹸や洗剤といったものは、私たちにとってはごくあたりまえに手に入る日常生活用品ですが、多くのミャンマーの国内避難民にとって、特に新生児の母親となる女性たちにとっては入手困難な贅沢品です。

ベビーキットに加えて基金は、妊娠3ヶ月までの女性たちに毎月1kgの豆類の支給も賄っています。この活動は、現地で栄養学的見地の無知から欠落しがちな、妊婦の栄養摂取による胎児への影響についての意識を高めることに役立っています。

長期的な支援成果

各地域に衛生教育を行き渡らせることは問題の改善に直接つながります。私たちはこのベビーキットの支給によって、母子のみならず地域全体がいかに力づけられてゆくかいうことを目の当たりにしてきました。多くの女性たちが妊娠出産育児についての知識を深めてゆくにつれ、母親としての自信をも深めてゆくのです。ある母親たちによると、この衛生教育を体験するまで、初乳を新生児に与えることの大切さを知らずにいて、それまで伝統的に初乳を廃棄していたことや、規則的な授乳を行っていなかったことなどに気付かされました。

基金の使途

基金によりベビーキットの中身、ヘルスワーカーの交通費、食料、衛生ワークショップ設営費がまかなわれます。

支援成果事例

ある母親は言います。「避難生活の間には充分な食糧や衣料品も住居もなく、ひとつの場所から次の場所へと移動が続きます。そんな時に受けとったこのベビーキットは私たちを大変励ましてくれました。その中身はおくるみ用の布や石鹸といった簡素なものながら、この贈り物は到達困難な配給ルートをかいくぐり私たちの手元に届いた、誰かの、私たちへの支援の意志を象徴していました。そのことに私は大変力づけられたのです。」

あるキャンプリーダーは語ります。「私たちの地域ではこのベビーキットの支給があるおかげで、この困難な状況にあって母と子がその恩恵を受けています。たとえ数点の品物ながら、母親がこれを受け取ることで家族全体に喜びをもたらすのです。この活動の継続と拡大を望みます。」

現地の状況

ミャンマーのカレン州では、長い間この地域に住む母親と子供たちは極端な貧困のための劣悪な衛生環境と教育の欠落に苦しんできました。ミャンマーの妊産婦および乳幼児死亡率は世界でも最も高い率を示しています。

停戦協定ののちも、村部住民たちは軍部の標的にされて家を追われています。ある人びとは 、イートゥターのような国内避難民キャンプにたどり着き、またある人びとは近隣の村へ逃げ不安定な状況下で暮らしています。医療の提供を受けるのに何日もかかるような状況下で地域を助けるヘルスワーカーたちは、村から村へと物品を支給するにもさまざまな困難に直面しています。

このプログラムは地域に密着した組織であるカレンウイメンズオーガニゼーション(KWO)によって運営管理されています。組織のメンバーは全員が避難民または国内避難民という立場にある女性たちです。